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宇都宮地方裁判所 昭和48年(わ)46号 判決

本籍および住居

栃木県今市市長畑五四八番地

製材業

福田由一郎

大正七年一月三日生

右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役六月および罰金七〇〇万円に処ずる。

右罰金を完納しないときは金二万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

本裁判確定の日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は栃木県今市市長畑五四八番地に居住し、不動産売買などを営んでいたものであるが、所得税を免れようと企て

第一  昭和四四年一月一日から同年一二月三一日までの年度における総所得金額は、一、五二五万九、二六六円であつたのに、不動産売買につき二重の契約を締結するなどして所得の一部を秘匿したうえ、同四五年三月一四日栃木県鹿沼市東末広町一、九三四番地の二四所在の鹿沼税務署において、同税務署長に対し、総所得金額が五一四万五、一三二円で、これに対する所得税額が九二万八、七〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、被告人の右年度の正規の所得税額六〇七万二、四〇〇円と右申告税額との差額五一四万三七〇〇円を法定の納期限までに納付せず、もつて同額の所得税をほ脱し

第二  昭和四五年一月一日から同年一二月三一日までの年度における総所得金額は、六、七四五万八、二八七円であつたのに、他人名義を使用して不動産の売買をするなどして所得の一部を秘匿したうえ、同四六年三月五日、前示鹿沼税務署において、同税務署長に対し、総所得金額が二、〇九四万八、八〇〇円で、これに対する所得税額が八九一万六、〇〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、被告人の右年度の正規の所得税額三、八七三万七、一〇〇円との差額二、九八二万一、一〇〇円を法定の納期限までに納付せず、もつて同額の所得税をほ脱し

たものである。(所得計算および税額計算は、別紙(一)ないし(六)のとおりである。)

(証拠の標目)

判示全部の事実を通じて

一  被告人の当公判廷での供述

一  被告人の検察官に対する各供述調書

一  被告人作成の各答申書

一  大蔵事務官の被告人に対する各質問てん末書(昭和四七年一月二八日付、同年五月三一日付を除く)

一  鹿沼税務署長作成の証明書二通

一  国税査察官作成の各「査察の概要」と題する書面(記録一〇四丁ないし一三八丁)

一  大蔵事務官作成の「経費明細調」と題する書面(記録一三九丁以下)

一  浅見和平の検察官に対する供述調書、大蔵事務官の同人に対する質問てん末書および同人作成の昭和四六年一一月二六日付答申書

一  西山昇一郎の検察官に対する供述調書、大蔵事務官の同人に対する各質問てん末書

一  松原忠作成の答申書

判示第一の事実につき

一  大蔵事務官作成の昭和四七年一〇月一七日付(検一号)脱税額計算書および「調査所得(調査による増減金額)の説明書」と題する書面

一  石原宝作、飯塚勝己、宇賀神幸重、小野喜美子、蕪木貞夫、加藤清、加藤武、諏訪政吉、須藤けい、千田英子、真方均、若月絹江、中島建晴、篠江彦子、篠江秀輝、武井融、見山ミヨ子、谷地英子、渡辺ミキ、青木道弥、栗原裕(記録二六九丁のもの)、小沢一皓、細川仁市作成の各答申書

判示第二の事実につき

一  大蔵事務官の被告人に対する質問てん末書

一  大蔵事務官作成の昭和四七年一〇月一七日付(検三号)脱税額計算書および「調査所得(調査による増減金額)の説明書」と題する書面

一  安藤美男、宇賀神明芳、小野健次、木村倫一郎二通(記録二〇八丁、二五三丁)、小出史子、橋壁義雄、橋本藤一、浅見和平(記録二三四丁のもの)、西山昇一郎、村山謙吉、石海勇次郎、枝村藤作、枝村、枝村英仁、小黒一男、押田義雄、栗原裕(記録二五四丁のもの)、柴原金次、丸山光太郎、湯沢清二通(同二六三丁二六五丁)、加藤庄一郎、石川昌雄作成の各答申書

一  坂本信子、新田正男作成の各「供述書」と題する書面

(確定裁判)

被告人は、昭和四七年七月一五日、宇都宮地方裁判所で贈賄罪により懲役一年六月(執行猶予三年)に処せられ、右裁判は同月三〇日確定したものであつて、右事実は、検察事務官作成の前科調書によりこれを認定する。

(法令の適用)

判事各所為 各所得税法二三八条一項(懲役刑、罰金刑併科)

併合罪処理 刑法四五条後段、五〇条、同法四五条前段、四七条本文、一〇条(懲役刑について判示第二の罪の刑に加重)、四八条二項

換刑処分 同法一八条

刑の執行猶予 同法二五条一項

検察官 小林庄市 出席

(裁判官 大関隆夫)

別紙(一)

修正損益計算書(一)

自昭和44年1月1日

至昭和44年12月31日

別紙(二)

修正損益計算書(二)

自昭和44年1月1日

至昭和44年12月31日

別紙(三)

修正損益計算書(一)

自昭和45年1月1日

至昭和45年12月31日

別紙(四)

修正損益計算書(二)

自昭和45年1月1日

至昭和45年12月31日

別紙(五)

脱税額計算書

自昭和44年1月1日

至昭和44年12月31日

税額の計算

別紙(六)

脱税額計算書

自昭和45年1月1日

至昭和45年12月31日

税額の計算

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